ポーランド日記

ワルシャワに来ました。

イースター

仕事をして、本や漫画を読んで、食べて飲んで寝て、ふとワルシャワにいることを忘れてしまう事がある。そういえば私はワルシャワに来たんだった。もう通勤の満員電車に乗るのは嫌だと、新しい所に行ってみたいと思って外に出るけれど、ふと、私はなんでここに来たんだっけ?と分からなくなることがある。日本語を教えることは面白い。興味深い。だから友人や家族から離れて外国へ来るのだろうか。

好奇心は、いつまで私を生かしてくれるのだろう。冷たい冷たい雨が降る。こんなに寒いのに、雨が降る。

今日はイースターで、ほとんどの店や会社や学校が休みで、バーガーキングも休みだったのに近くのケバブ屋は開いていたのでそこで昼ごはんを食べる。それからトラムが空いていることに気がついて、せっかくシティカード(エリア定期券みたいなもの)を購入したので試しに乗ってみる。トラムがどこからどこまで走っているのか、環状線なのかどうかもわからずとりあえずきた車両に乗る。雨は降ったり止んだりしているが、気がつくと雹になっていた。

仕事をまだしなければならないけど、いつも混んでいるトラムがガラガラなので思わず飛び乗ってしまった。トラムに乗っていると、知らないおじさんに話しかけられた。その辺に転がっている荷物の持ち主か尋ねられたようだったので、Nie(いいえ)、と言ったら一気にポーランド語で話しかけられる。すまんわかりません、と言うと片言の英語に切り替えてくれる。指輪をしていないのはなぜだと聞かれ頭の上にはてなが浮かぶ。しきりに旦那はいないのか恋人はいないのか聞いてくる。どうやらビューティフルなどと言ってくれているようだが、そんなことを言われる謂れはない。ポーランド人女性こそ美しく、普段から自分の容姿に自信はないが、さらにアジア人コンプレックスに近いものすら感じていたので、おじさんがバスを降りてからふと、あのおじさんは私がアジア人だからからかっていたのではないかと邪推してしまう。いくら親日の国であっても、欧州では日本人だろうが中国人だろうがベトナム人だろうが、アジアという括りで侮蔑する人は一定数いる。アジア人である自分に投げかけられる好奇の視線は、駅や人ごみの中で時々感じるけれど足早に歩いていくうちに煙のように消えている。変なおじさんだったけど、親切で、しっかり目を見て話してくれた。なのに、あのおじさんは私がへらへらしているのを、嘲笑っていたのではないかという考えがよぎってしまったのは、私もまた偏見に飲み込まれているのだなぁと反省した。むやみに心を開いては後でへこむけど、こういう偏見をもつ自分を目の当たりにするものまた、へこむ。とりあえず、美しい!もっと若かったら恋人になりたいよ!なんていう軽口を、そのまま受け取って、嘘でも喜んでおこう。