ポーランド日記

ワルシャワに来ました。

Biblioteka Universytecka w Warszawie

勢いあまってブログを始めたけど、ぜんぜん書く気が起きない。そもそも私はブログや日記なんかを続けたためしがない。面白い文章を読むのは好きだ。でも自分の文章にはあまり興味が持てない。自分でも興味が持てないようなものを人様が興味が持てるとも思えない。そうだ私ってロム専だったと今更思い当たったけど、生活も変わるしと、続かないのがわかりきっているのに始めてしまったのだった。こういう目的のないブログが一番意味不明なのもわかっているけど、惰性で続けてみようと思う。

先日、ワルシャワ大学図書館に行ってみた。警備員のおじさんに観光客(みたいなもの)だと言ったら門前払いされたけど、しばらく住むのに外国人だからといって入れないわけがないといきり立って、何とかIDカードを作って入館にこぎつけた。2人いた受付の女の人のうち、一人は全く英語を受け付けてくれず、一人は何とか大丈夫、登録係の男性は英語OKだった。警備員のおじさんは、英語ができない。

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ガラス張りで近代的な建物だ。だけどツタが這いたい放題で外の庭園と一体化していてドームまでくっついていて、外観としては何だかよくわからない建物だった。私はポーランド語が分からないので、ここの所蔵のほぼすべての書籍を読むことができない。それでも、なんだか泣きたくなるほど気持ちが落ち着いたのはなぜだろう。これだけの本が存在すること、本に囲まれていることへの安心感?多幸感?本屋でも感じる、こういうのをなんていうのだろう。そわそわとした気持ちで、歩きながらBiblioteka Universytecka w Warszawie(=ワルシャワ大学の図書館)という文字を転がして考えていたら、突然「ビブロマニア」という言葉が脳天に直撃した。どういう意味だったかはっきり覚えていなかったけど、なんだかこれはビブロマニアだ!私はビブロマニアに違いない!と確信めいた喜びが湧いてきた。確かビブロは何とか語で本である(ラテン語)。帰って調べてみたら、正確には「ビブリオフィリア」とか「ビブロフィリア」とか言われるらしく、いわゆる愛書家、読書というよりも書籍そのものを愛でる人種のことを言うらしい。どこでこんな言葉を聞いたのか全く分からないけれど、ある時、ある瞬間に、欲していた言葉に直撃されるような形で出くわすことがたまにある。出くわす、あるいは降ってくる、とでも言いたい。私は昨日のことでも、たいていすぐに忘れてしまう。嫌なことは考えないようにしてとっとと忘れようとするし、嬉しいことでもそればかりに構っていられないのでそのうち忘れてしまう。ぼーっと生きているので、日々の記憶がどこに消えてしまったのか知る由もないが、こうして時折、記憶の引き出しから落ちてきてつむじのあたりに直撃したり頬をはたいたりするので、完全に失われているわけでもないらしい。

それにしても、ビブロフィリアなんて言葉を自分が知っていることも知らなかった(忘れていた)し、実際、読書は好きだけど読むこともできない紙束をこんなにありがたく、尊く、愛しくすら思う自分がいるなんて知らなかった。そう思うと、いつどんな刺激で自分の記憶の引き出しから、自分でも忘れ去っていた何某が出てくるのかわからないのは、案外面白い。