ポーランド日記

ワルシャワに来ました。

脂の木曜日、寒い木曜日

地下鉄の通路から、階段で地上に上がっていくと、山盛りのポンチキが見えた。ポンチキとは、ミスタードーナツのエンゼルクリームの、中身をクリームからラズベリージャムに変えたような食べ物であるが、要は揚げパンである。いつもはこんなところに、こんなにもりもりとポンチキが積まれることはない。怪訝に思いながら、スーパーの中に入って確信する。今日が、かの「脂の木曜日」なのだと。

「脂の木曜日」とは、ポーランドの宗教的なイベントの一つで、雑に言うと、贅沢品であった砂糖やバターのような食べ物を食べ収めるという名目で大量に食べる行事である。店内にも、ポンチキ。パックで5個セットで売っているものから、小売りの特設販売エリアもある。10個ぐらい入った袋を2つも引っ提げていく人もいる。ポンチキポンチキポンチキ。なんだか私も食べたくなって最後には買う。これだけ寒いので、カロリーを摂ったほうがいいと思う。そう自分に言い聞かせて買い物かごにポンチキを放り込む。結局2個しか食べられなかったけど、もっと若ければもっと食べられたのに、それが心残りでならない。

今日は客室乗務員の学生とスカイプで授業をしたのだが、彼女はマインクラフト(以下マイクラ)というゲームに熱中していて、もはやPrivate saverというマイクラのあるオンラインゲーム上の管理人のようなことをしていると言う。実は私の密かな将来の夢は、気が済むまでマインクラフトに没頭して心ゆくままに時間を溶かすことなのだが、まさかこんなところに同志がいたとは思わなかった。彼女の日本語はまだ「上級」とは言えないけれど、「時間を溶かす」という日本語はしっかり心得ていて話が早かった。当の私は、実は残念ながらマイクラをプレイしなことがなく、実況動画を見ているだけなのだが、これも不思議に楽しい。最近はそうでもないが、以前はよくマイクラ動画を見漁っていたものだ。昔からゲームがあまりうまくないけど、友だちや弟がゲームするのを見ているのが好きだった。Privaete saverの学生の話に戻ると、彼女は優秀であると同時に、非常に多趣味で面白い人だ。小説を書いたり、編み物をしたりしていて、最近まで大学院で論文を書いていたのだからどうやって時間のやりくりをしているのだろうと思う。私は彼女からよくわからない元気をもらって、私もきっと将来マイクラで時間溶かすぞと決意を新たにし、そして、もっといろんなことをして遊ぼうと思ったのだった。