ポーランド日記

ワルシャワに来ました。

師走

もう12月。

あと4か月、ふとした瞬間に来年の3月いっぱいで日本へ帰ることを日に一度は思い出すたびに、なんだか時間があっという間に過ぎてしまうことが恐ろしくなる。周りから今後の身の振りをたずねられることもあるし、自分でも考えなければならないと思う。8月に今のアパートに引っ越して、9月に一時帰国してワルシャワに戻って、学校の新学期が始まってからだんだん生活が落ち着いて、1か月に1回ぐらい国内旅行をしている。1泊の短い旅行だけど、列車に乗って阿房列車よろしく車窓を眺めながらぼーっと移動する。残念ながら法律で禁じられているので、列車道中でお酒を飲むことはできない。1年というビザの期限の中で、ということを念頭に始めたポーランド生活だけど、たぶん続けようと思えば続ける方法はいくらでもあって、まだ帰りたくないという気持ちと、だからと言って続けていいのかという気持ちがぷかぷかと浮かんでは沈みを繰り返す。しかし考えるのに疲れたら、とりあえず保留にするという体たらく。

授業では、毎回日本の文化とか習慣について適当に話したり紹介するようにしている。今日は、今日、平成が終わる時期が決まったというニュースを見たのでそれについて話した。面白いことに、漫画・アニメの影響で「明治」時代を知っている学生がいたけれど、10年近く日本語を勉強している学生でも「平成」という、日本独自の元号の事は知らない。日本は、遠い国だ。

私の教えている学生たちは、働いている人が多い。ズンバというダンスを週1でしているITアナリストがいて、クラシックバレエをする脳科学研究者がいて、趣味で小説を書いて、船舶免許をもつ客室乗務員がいて、DJをしながら日本語を勉強する英語教師がいる。7か国語を話す、乗馬が大好きな生物研究者がいて、カンフーを習っていて建設現場監督をする建築デザイナーがいる。日本語よりも韓国語を話せる外務省職員がいて、書道をするプログラマーがいる。何なのみんな多趣味。

私は日々、自分があまりにもつまらない人間なので絶望している。アニメを見ることと本を読むことくらいしか趣味らしい趣味がない。小さいころに絵を習っていたことがあるけれど、いまは全然描いていない。自分がつまらない人間だと痛感するのはつらいものだ。何かしようと思うと時間が終わっていて、そうか私にはマネジメント能力みたいなものが皆無なのだった。 

 来月1月下旬は、Ferieというポーランドの学校の休みがあるので、日本語学校も休みになる。前からどこに遊びに行こうか考えあぐねていて、あっという間に2か月前になってしまった。飛行機で移動するなら予約が遅くなってはまずいと思って、焦って旅行の予定を練り始める。当初、クロアチアとか暖かい土地に行こうと思っていたのだが、だんだん、せっかくだから東欧諸国に行こうと思いなおした。そうしたら、エストニアの首都タリンあるいは、フィンランドのヘルシンキ経由でなら、サンクトペテルブルグに「観光ビザ」で入れることを知ってそっちに傾いた。常々ロシアに行きたいと思っていたけれど、何せビザの申請が面倒くさいのだ。たぶん旅行代理店を介さないで、ロシア語もわからん日本人が個人で行うのは不可能なのではないだろうか。だけど、タリン、ヘルシンキからフェリーで海路入国ならそれらの申請が不要(ただし滞在時間72時間以内)でロシアに入れると言う。その方向で旅案を講じていたけれど結局、船移動の時間やフェリー運航時刻とか港への移動とか、それらに合わせた飛行機の予約とかが面倒になって辞めてしまった。

とりあえずエストニアはタリンまでの片道航空券を予約して一息つく。あとは、うまくいけば海路でサンクトペテルブルグに渡ってもいいし(おそらくタリンからヘルシンキに渡って、それからサンクト)、タリンから南下してラトビア、エストニアとバルト三国をめぐるのでもいい。とりあえず現段階でバルト三国が有力だが、片道切符を手に入れただけで安心して旅行のことを放置していたら、すぐに年末になって今年が終わるだろう。そうしてすぐにFerieになってしまう。わかってはいるのだが結局、ギリギリにならないとやらない症候群に生まれたときから罹っているので、どうにもできない。

 あと、ぎりぎりでやらなくてはならないことがもう一つ。まだクリスマスカードを書いていない、出していない。もうオーストラリアへの航空便では間に合うかどうかわからない。後回し病、ぎりぎり症候群、どうにかなる疾患、私は実にさまざまな宿痾に忙しい。